異形アンソロジー 塔の物語 井上雅彦編 角川ホラー文庫
今回も書評というよりはただつらつらと感想書いてみた。
タロット好き人間として前から気になっていた本。買おうかなあ、と迷っているうちに近所の本屋になくなってしまったんですが、古本屋で見付けたので買ってみた。塔にまつわる短篇を集めたアンソロジー。全体的に物語自体はそんな凝った話はなかったけれど、描写がすごい作品が多かったっす。
一番一番始めに収録されてる『塔』とか描写がきちんとしてないと「ふーん、そう、恐いね(棒読み)」で終わると思う。『摩天楼』なんてほとんど夢の塔の描写だけだもんなあ。私も昔はよく夢を見たので、夢の中で空を飛ぶ感じとか「ああ、そうそう、分かる」ってなった。
個人的に『蝙蝠鐘楼』は物語の舞台ってだけで話にあんまり塔関係なくね? と思ったのは内緒。古典によくあるという、「ああ、もう、すぐ傍に奴らが!」みたいな文で日記(この作品では手紙)が終わる形式。「書いてるヒマがあるなら逃げろよ!」と思うのは私だけではあるまいて。
『ロンドン塔の判官』は中世ファンタジーっぽい雰囲気が個人的にツボ。『額から右の耳にかけて大きな火傷の跡』がある牢番頭のナイトガルでっせ、ナイトガル!
『骸骨踊り』はアニメのショートムービーでありそうね。
『蝿』うーん、こういう
視覚的に見せる
文章って、長編の胆の
部分でちらっとやるから
目を引くんであって短編で
何回もやるのはうっとう
しいと個人的には思うん
ですけどどうですか。
それにしても、このシリーズって21巻ちゃんと出ているのだろうか。太陽とか月とかならともかく、吊られた男ってテーマでアンソロの数を集めるのに苦労しそうだ。
続くに私信
705号機さん