書評ですよ。ほごけん ―ヒトと保護犬の赤い糸さがし― 柴田亜美 竹書房
私はマンガは読書メーターや書評に入れない方針でやっているのですが、こればかりは取り上げずにはいられなかった!
ほごけんは漢字で書くと保護犬。悪質なブリーダーや飼い主に捨てられ、保健所で処分される所をボランティア団体に保護された犬の事。著者のアーミンこと柴田亜美は保護犬を預かり、その犬のしつけや傷ついた心のケアを行い、新しい里親を探すボランティアをしています。その様子を描いたエッセーコミックス。ボランティアのすばらしさだけでなく大変な所も隠さず描いているのが好感もてます。
そういやあ、猫がヒトんちの物置で子猫産んだとき、家では猫を飼えないから居つかれた時のためにひきとってくれる所探していて、「へえ、こんなボランティアあるんだ」と思ってはいましたが、具体的な活動内容は知らなかったなあ。(ちなみにその後、猫家族は無事ひっこしていってくれました)
アーミン特有のギャグでとっつきやすく、カラリと明るく読めるようになっているものの、語られているのはシリアスな現実。ブリーダーに十何年も狭いケージに閉じこめられっぱなしだったせいで、散歩もできない犬。虐待を受けていたせいで、頭の上に手をかざすと殴られると思って身をすくめる犬。アーミンが担当した犬ではありませんが、病気で両目を摘出された状態で捨てられた犬もいるとか……ペットブームの影で、確かにある不幸な一面。
変に動物を擬人化したり、かわいいかわいいばっかりで動物を飼う時にどうしてもついてまわる苦労も伝えずブームをあおるだけの動物番組見ている人は、こういう現実がある事も知っておくべきだと思うよ!
アーミンの所属しているボランティア団体、CATNAP(キャットナップ)では、応募されてきた里親さんに、きちんとわんこが飼えるかどうか考える時間を与え、さらに家族構成や環境をチェックするのだとか。そうだよなあ。ペットショップとかも、そうすればいいんだよなあ…… もっとも、そんなんじゃ商売にならないんでしょうが。
以下、続くでぐだぐだ感想
●なんだか、『どきばく』(ゲーム誌に載っていたエッセイマンガ)で家政婦さんが来ない連休中、冷蔵庫の中に栄養ドリンクとビールしかなく、料理もできないからげっそり痩せただとか、体悪くして血尿出したとかいうエピソードをたっぷり読んでいたから、わんこの世話をきっかけにアーミンが自炊して早起きしてるとか読んで安心したわ~w
●私、もし犬飼う事にしたらペットショップじゃなくてこういう所からもらうんだ……しつけもある程度してくれてるなんて、命を救う云々ぬきで安心じゃないかw
●猫を預かってくれる所を探していた所、どこぞの団体のホームページに「この団体は札処分される猫を救うための団体で、個人の捨て猫の保護は行っていません。かわいそうだからと安易に拾って他人に押しつけるのではなく、自分で責任もてないなら拾わないでください」みたいな事書いてあって、「違うんだ、拾ってきたんじゃないんだ、なんかいつのまにか敷地内に居たんだ」と腑に落ちなかったあの日。
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