●一文字開けについて。
段落換え後、セリフの後は一字分空白に。
深い森の中で、真っ白なハトが一羽、落ち葉の上にうずくまっていました。大きなタカに襲われ、なんとか逃げ出したものの、翼にひどいケガを負って飛べなくなってしまったのです。流れる血で、白い羽は赤く染まっていました。
ハトが痛みに震えていると、馬がざくざくと落ち葉を踏んで近づいてくる気配がしました。けれど、今のハトは飛ぶどころか歩く力もありません。
「おや、こんなに近づいているのに逃げないなんて」
涼しげな声が降ってきて、ハトは声の主を見上げました。優しそうな目をした王子様が、馬上からハトを見つめていました。
分かりやすくするために一文字開け部分に〇をいれると
〇深い森の中で、真っ白なハトが一羽、落ち葉の上にうずくまっていました。大きなタカに襲われ、なんとか逃げ出したものの、翼にひどいケガを負って飛べなくなってしまったのです。流れる血で、白い羽は赤く染まっていました。
〇ハトが痛みに震えていると、馬がざくざくと落ち葉を踏んで近づいてくる気配がしました。けれど、今のハトは飛ぶどころか歩く力もありません。
「おや、こんなに近づいているのに逃げないなんて」
〇涼しげな声が降ってきて、ハトは声の主を見上げました。優しそうな目をした王子様が、馬上からハトを見つめていました。
って感じですね。
●一行空けは「読者の頭をリセットしたい所」にいれる
いやね。最近なんでもやたらと改行連発する人がいるんですけどね。私はそれが嫌で嫌で。改行にだってきちんと存在理由があるのにね。
そもそも、ガラケーで携帯小説読みやすくするために改行連打は流行ったんだろうに、でかいスマホで文章読めるようになった今、無駄な改行あけになんの意味があるのかと小一時間(略)大体小説の賞って何文字分(原稿用紙〇枚)とかだからWEB応募ならともかく印字公募で改行連打なんかしたら下読みでポイされ(以下略)
さて、話を戻すと、改行の働きは読者の頭をソフトリセットすること。
主に
時間の経過
場所の移行
語り手の移行
を現すのに使います。
※時間の経過
「ひどいケガをしているね! これでは飛んで逃げる事ができないわけだ」
地面に下りた王子様は、ハトが痛い思いをしないよう、ゆっくりとその小さな体を抱えあげました。そしてハトを城に連れ帰ると、ていねいに手当をしてくれたのです。
王子様のおかげで、ハトはすっかり元気になりました。皮膚に傷痕は残ってしまいましたが、羽毛で隠れるし、飛ぶのになんの不自由もありません。
※ここでは改行中に手当されてから治るまで時間が経過しています
※場所の移行
さっそく、壁にかかった上着に袖を通しながら、ハディスは窓の外に目をむけた。
空は曇りがちで、出掛けるのに最高の日、というわけにはいかないようだった。
目的地についた時には、すっかり夜になっていた。だが、怪しい声を調べるなら、旅人の証言と条件を合わせた方がいいだろう。そう考えれば、まあ悪くない。
※ここでは改行中にトコトコ歩いているシーンが省略されてるわけですな
※語り手の移行
買うわけない。心の中で亜矢はぺろっと舌を出した。
「あの、これって……」
あとは、どれだけ時間を引き伸ばせるか。亜矢は心の中で気合いを入れた。そして、香炉のウンチクを語る店員さんの言葉を熱心に聞くふりを始めた。
レイは亜矢達の隣を通り過ぎ、スタッフオンリーの扉を擦り抜けた。広い廊下が続き、その両脇に扉がいくつか並んでいる。とりあえず忍び込んだ者の礼儀として、抜き足さし足でレイは進んでいった。
「さて、どこから調べるべきか……」
※亜矢から空行挟んでレイに視点移ってます。ただし! これを何度もやると読者が混乱+感情移入しにくくなりますのでなるべくやらない方がいいです。
あと番外編として、短い単語だったり文だったりを挟んで強調したりとかもありますが、これまた連発すると効果がうせるよ!
ちなみにこれは私はあまり使わないテクニックなので例文は即興で
間違いなく部屋の中に誰かいる。私は恐る恐る扉を開けた。散らかったリビングの真ん中に、細い影があった。侵入者はゆっくりとこちらをむいた。こけた頬に、ひきつれた傷跡。
彼だ。
「バカな! お前は死んだはずだ!」
彼に何があったんだよ…… てことでこんな感じでしょうかね。参考になれば。